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『ハード・ウェイ』はパロディ、オマージュだらけでスピルバーグやメル・ギブソンの名前、実在の映画タイトルなども登場

『ハード・ウェイ』自体、マイケルのセルフパロディ的映画となっていますが、パンフレットを読むと、マイケル前提で製作が決まったわけではなく、脚本を読んだジョン・バダム監督とプロデューサーのロブ・コーエンが、この若い俳優を演じるのはマイケルしかいないと思ってオファーしたそうです。

 

この映画には様々な映画のパロディ、オマージュが散りばめられています。映画通ならもっと見つけられるかもしれませんが、私が把握できているものだけ、出てくれ順にご紹介します。

劇中映画『スモーキング・ガンⅡ』=『バック・トゥ・ザ・フューチャー』+『インディー・ジョーンズ』

マイケル演じる俳優ニック・ラング主演映画『スモーキング・ガンⅡ』は、マイケルをアイドルスターにした『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のようにニックをアイドルスターにした映画の第2作。主人公のジョー・ガンは探偵だが、『インディー・ジョーンズ』的な雰囲気。

ちなみに『スモーキング・ガン』のガンは主人公の苗字ですが、「スモーキングガン」は英語で「決定的証拠、動かぬ証拠」という意味だそうです。

スモーキングガン(smoking gun)の意味・使い方をわかりやすく解説 - goo国語辞書

また、スモーキングガンと呼ばれる銃のような形の燻製器もあるようです。

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ニック自身は『スモーキング・ガン』が嫌いです。製作費は高いが中身からっぽの2や3が出るマンガ映画だと思っており、エージェントのアンジーに不満をぶつけます。ニックは社会派のシリアスな映画に出たいと願っています。マイケルも『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で高校生役を演じ続け、『ハード・ウェイ』の前に『カジュアリティーズ』などのシリアスな映画に挑戦しています。

スピルバーグ監督

ニックのスタッフがスピルバーグに赤ちゃんが生まれたと知らせ、ニックがお祝いにプレゼントとカードを贈るよう指示した後、受賞スピーチで自分の名前を言ってくれなかったとぼやきます。これはマイケルとスピルバーグ監督の実話に基づいています。 

 haten-aren.hatenablog.com

 

ライバルはメル・ギブソン、『バード・オン・ワイヤー』のポスターも登場

ニックがライバル視している『リーサル・ウェポン』など刑事役で大人気の俳優。

ニックがやりたい刑事レイ・カサノブ役も、メル・ギブソンに決まりそうだと言われていました。昔はニックのファンだったスーザンの娘ボニーも、今はメル・ギブソンのファンだと言い、ニックはちょっと傷つき、モスは面白がって自分もギブソンが大好きと言います。

 

メル・ギブソンジョン・バダム監督の『バード・オン・ワイヤー』の主人公を演じました。映画館の廊下でニックがモスを殴る直前のシーンでは、映画館の壁に『バード・オン・ワイヤー』のポスターが貼ってあります。

バード・オン・ワイヤー - Wikipedia

なお、ニックのギャラは本物のメル・ギブソン級に設定されていて、ギャラの意味でもライバルです。

コメディ版『ダーティハリー

キネマ旬報」1991年5月下旬号p.57のジェームズ・ウッズへのインタビューで、記者がジョン・モス刑事のキャラクターはクリント・イーストウッドの『ダーティハリー』を彷彿とさせることに触れると、ジェームズ・ウッズはコメディ版『ダーティハリー』だと答えました。

M-65(フィールドジャケット)

1991年の映画『ハード・ウェイ』:マイケル・J・フォックス演じるニック・ラングがオリーブグリーン色のモデルを着用している。

引用元:M65 (フィールドジャケット) - Wikipedia

上のWikipediaの「映像作品におけるM-65」を見ると、色々な映画のキャラクターが着ていて、『タクシードライバー』のロバート・デニーロも着ていたのですね。

後述しますが、ニックは『タクシードライバー』の名台詞を言います。M-65もオマージュだったのかもしれませんね。着ているのは別のシーンですが。

それか、ニックの中のタフな刑事のイメージがM-65だったか。

スターウォーズ』のヨーダ

ニックがモスを「刑事のヨーダ」と例えます。

 

ディック・トレイシー

映画『ディック・トレイシー』(1990)はコミック原作の実写映画。『ハード・ウェイ』の前の年の映画です。

ディック・トレイシー (映画) - Wikipedia

Dickは名前のほかに俗語的な意味で「探偵、デカ」という意味があります。

 

『ハード・ウェイ』で、ゴム銃をつけてモスについて行こうとするニックにモスがdickの卑語的な意味を使って下品なダジャレを言います。

日曜洋画劇場版吹替とノベライズ版は本来のタイトルを言ってます。

ノベライズ版もこう言っています。DVD日本語吹替は違うセリフになっています。

 

トッツィー』のレモンつきのデュボネ

オマージュかは不明ですが、ニックがバーで頼むDubonnet with a twist(レモンつきのデュボネ)(吹替では「甘口のワイン」)は、『トッツィー』でダスティン・ホフマン演じるマイケルがドロシーの格好でエージェントのジョージに会ったときに注文した飲み物。

 

『ファミリータイズ』、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』と同じ寝相

ニックの寝相が、『ファミリータイズ』から変わらないマーティの寝相

 

タクシードライバー』の名セリフ「You talkin' to me?」(俺に用か?)

パトカーを運転するニックが後部座席から脅してきたパーティー・クラッシャーに言います。

 

デ・ニーロが鏡に向かい「You talkin' to me?」と呟きながら自分の鏡像に銃を向ける場面は、脚本には書かれておらず、監督とデ・ニーロが即興で練っていった。このセリフは、2005年にアメリカン・フィルム・インスティチュートが選出した「アメリカ映画の名セリフベスト100」で10位にランクインした。

引用元:タクシードライバー (1976年の映画) - Wikipedia

アメリカ映画の名セリフベスト100 - Wikipedia

バック・トゥ・ザ・フューチャーPart3』でもマーティがこのセリフを鏡に映った自分に銃を向けて言っているので、セルフパロディとも言えますね。

 

真夜中のカーボーイ』の名セリフ「I'm walking here! I'm walking here!」をアレンジしたセリフ「Hey! I'm drivin' here! I'm drivin' here!」

「You talkin' to me?」のちょっと後のニックのセリフです。これは今日まで知りませんでした。知ったきっかけが、画像検索でフリマサイトらしきページに行って、出品品の映画半券の紹介文にこのことが書いてあったからです。リンク貼ってたのですが、売れて消えてしまいました。ちなみにこのポスターと同じデザインで、ニックがかなり派手です。

www.mauvais-genres.com

 

真夜中のカーボーイ - Wikipedia

「I'm walking here! I'm walking here!」は、『真夜中のカーボーイ』のリッツォ(ダスティン・ホフマン)のセリフで、2005年にアメリカン・フィルム・インスティチュートが選出した「アメリカ映画の名セリフベスト100」で27位にランクインしたセリフ。

アメリカ映画の名セリフベスト100 - Wikipedia

知ったきっかけの記事と下の記事によると、『バック・トゥ・ザ・フューチャーPart2』でもマーティ・マクフライJr.が道路をよく見ずに横断しようとして「Hey!I'm walking here! I'm walking here!」と言っているそうなので、「You talkin' to me?」と同じくセルフパロディとも言えます。

backtothefuture.fandom.com

ちなみに、ロバート・ゼメキス監督の『フォレスト・ガンプ』(1994)でも「I'm walking here! I'm walking here!」のパロディがあるそうです。タクシーの中を車椅子を押して歩くシーン。

フロッグドッグを食べるときの「コンニチハ」も外国人はパロディだと思っている

さきほどのフリマサイトらしきページの紹介文には、『バック・トゥ・ザ・フューチャーPart2』で怒る日本人上司に言った「コンニチハ」をニックがフロッグドッグを食べるときに言っていると書いてあります。へぇ、外国人からしたらそう聞こえるんだ!とちょっとびっくりしました。今まで、モスが「バンザイ」と言ったから、ニックも知ってる日本語を言ったんだな、くらいにしか思ってなかったので。面白い発見でした。

 

ジョン・バダム監督の1988年の『張り込み』のDVD表紙

モスのアパートにパーティークラッシャーから電話があって、モスとニックがブラインドの隙間から窓の外のニックのビルボードを見るシーンが『張り込み』のパロディだと、「ビデオでーた」1991年No.8 4月24日号p.12に書いてあります。

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ヒッチコック監督の『北北西に進路を取れ

クライマックスでのニックの顔の巨大ハリボテ(ビルボード)でのアクションは、この映画のクライマックスでのラシュモア山(大統領4人の顔の巨大彫刻があるアメリカの山)でのアクションのパロディ。

北北西に進路を取れ - Wikipedia

ラシュモア山 - Wikipedia

この記事で紹介した「ニューヨーク・タイムズ」のレビューにも書いてあります。

haten-aren.hatenablog.com