前の記事で、二見文庫『ハード・ウェイ』は映画と違うところがいっぱいと書きました。具体的にどう違うかについて、何記事かに分けて書いていきます。今回は、映画よりもド派手な車についてです。
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スラム街でチンピラにバラバラにされた車の代車は、映画では車体が低くて長い白黒の車で、街の人はそのド派手さにびっくり。
パンフレットの「ストーリー」にはこう書いてあります。
車はチンピラに襲われてバラバラにされてしまう。そんなモスに、ラングは自分の車を提供
引用元:『ハード・ウェイ』パンフレットの「ストーリー」
「自分の車を提供」というのは、DVD吹替のニックのセリフ
そんなに派手だったかな、この車
引用元:『ハード・ウェイ』DVD日本語吹替
を聞いて書いたのかもしれません。 しかし、Blu-ray吹替、字幕、英語だと、こんな車しかなかったのかという感じで聞いています。つまり、選んだのはモス。
また、雑誌「ROADSHOWロードショー」1991年6月号にも、モスが無謀な車で揺さぶってニックを追い払おうとすることが書いてあります。
でも、ニックそんなに嫌がってなかった気が…
その謎が、小説で解けました。
小説の代車は映画よりももっとド派手で、まるで田舎者を言葉巧みに利用して金儲けする悪い連中の車のよう。ニックは助手席で身を縮めるくらい恥ずかしがります。後で乗ったスーザンの娘ボニーも、胸くそ悪い車だとか、ひどく下品だとかボロクソ言って、友達に見られたら恥ずかしくて死んじゃうとまで言っています。
ちなみに車内のアクセサリーはこんな感じ。
• 安っぽいベロアのシートカヴァー
• にせものの豹の毛皮を張ったダッシュボード
• けばだったダイスがぶらさがったバックミラー
「ROADSHOW」の記事のとおり、モスはニックを追い払うための嫌がらせであの代車を選んだんですね。