前の記事で、二見文庫『ハード・ウェイ』は映画と違うところがいっぱいと書きました。具体的にどう違うかについて、何記事かに分けて書いていきます。今回は、映画よりも多くの実在の人物名や映画名が登場することについてです。
ハード・ウェイ (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション) | J.R. ロビテイル, 静子, 堀内 |本 | 通販 | Amazon
映画でも登場する名前も含めて挙げてみます。
• メル・ギブソン
ニックがライバル視している俳優。刑事役で有名。ニックが狙っているトニー・ディベネデッティ役(映画ではレイ・カザノヴ役)もメル・ギブソンに決まりかけていた。
スーザンの娘ボニーは昔はニックのファンだったが、今はメル・ギブソンのファンだといい、ニック傷心。その様子を見たモスは面白がり、自分もメル・ギブソンが好きだと言う。
• 『ハムレット』、『戦争と平和』、『ヘンリーⅤ世』
ニックとアンジーがⅡやⅢがない映画の例として挙げた映画
• ロバート・デ・ニーロとダニエル・デイ・リュイス
ニックから刑事をリサーチしたいと言われたアンジーは、この俳優2人が刑事のリサーチをするなら分かるけど、ニックはニック、映画スターとしての自殺行為と思った。
• トランプ・タワー
p.50でモスがブリックス部長に言うセリフ
エゴだけはトランプ・タワーみたいにでっかくて中身は甘っちょろい役者のベビーシッターなんか、何があったってごめんです。
引用元:二見文庫『ハード・ウェイ 』、J.R. ロビテイル著/堀内静子訳、二見書房,
1991、p.50
• ジェイムズ・ディーン
ニックのレイ・カゼノブの変装を見たモスは、ジェイムズ・ディーン気取りだと思った。
• ジョゼフ・ウォンボー
ニックが警察の勉強のために読んだ本の作者。元警察官の推理作家。
• スタニスラフスキー
ニックがリアリティを出すために取り入れている演技理論スタニスラフスキー方式を考えた演劇人
• ディック・トレイシー
ゴム銃をつけているニックにモスが「ディック・トレイシーの真似か?」と言う。
• オリヴィエやハリソン・フォード
ニックはトニー・ディベネデッティ役(映画ではレイ・カザノヴ役)をこの2人がやるみたいに正しく(リアルに)演じたいと思っている。
オリヴィエはシェイクスピアで有名なイギリス人のアカデミー賞俳優。
• 『マイアミ・バイス』のソニー・クロケット
モスがバスルームにいる隙にニックがモスの銃でポーズをとる練習をしていたときに真似したドラマの主人公
※『特捜刑事マイアミ・バイス』最初のシーズンのストーリーエディターは『ハード・ウェイ』の脚本ダニエル・パイン
• ゲイリー・クーパーの『真昼の決闘』
パーティー・クラッシャーが自分のアパートで見ていたビデオ
• 『ファイブ・イージー・ピーセス』
スーザンと行ったカフェでニックがウェイターに特別なオーダー(コスレタス、芽キャベツ、レモンを添えたエヴィアン)をして断られる場面はこの映画の有名なシーンの真似のつもり。
• ジェームズ・キャグニーが出てくるギャング映画
モスがニックをだます芝居を見た、死んだ住人役の同僚の例え
• トラヴィス・ビックルとハリー・キャラハン
パーティー・クラッシャーとパトカー内で戦っていたときのニックはまるでジョウ・ガンとトラヴィス・ビックルとハリー・キャラハンが溶けあったひとりのヒーロー、ジョウ=トラヴィス=ハリー。
トラヴィス・ビックルは映画『タクシードライバー』の主人公(ロバート・デ・ニーロ)で、ハリー・キャラハンは映画『ダーティハリー』の主人公(クリント・イーストウッド)
こんなに実在の俳優が出てきますが、きっとニックの世界にマイケル・J・フォックスはいないんだと思います。