Woods&Buddy

好きな映画についての情報倉庫

『ハード・ウェイ』のニックとモスは実は似た者同士、だからうまくいかない

『ハード・ウェイ』のニックとモスは外見も性格も正反対のように見えますが、実は似た者同士。

二見文庫『ハード・ウェイ』ではモスの彼女スーザンはセラピストをしている心理学者。そのスーザンが、地下鉄に夢中で自分の話を聞いていないニックを見てこう言います。

あなたたちはふたりとも、そんなふうなのよ。日常的な事柄に、注意されなければぜんぜん気づかないみたい。ごく現実的な事柄よ……でも、たぶん、いつももっと大事なことで頭がいっぱいだからなんでしょうね

引用元:二見文庫『ハード・ウェイ』、J.R. ロビテイル著、堀内静子訳、二見書房、1991、p.208

ハード・ウェイ (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション) | J.R. ロビテイル, 静子, 堀内 |本 | 通販 | Amazon


 モスはパーティー・クラッシャーのことで頭がいっぱい。ニックは刑事役のことで頭がいっぱい。実は似た者同士。お互いが別のことで頭がいっぱいだから、なかなかうまくいかないのです。

モスは情熱的と言われますが、刑事役をやりたくてロスからニューヨークに飛んで本物の刑事のところに押しかけるニックも相当情熱的です。

モスはニックをガキっぽいと思っていますが、ニックのお守りを嫌がってブリックス警部に駄々をこねるモスも結構子供っぽい気がします。

モスは見た目はタフなのに人に心を開けないデリケートな一面を持っています。ニックは天真爛漫でフレンドリーで、一見誰にでも心を開いているように見えますが、実はエージェントのアンジーにしか、子どもっぽい役はもう嫌だ、大人になりたいという本音を話していません。もしモスに心を開いていたら、刑事役をやりたいという建前ではなく、本音を打ち明けて協力を仰いでいたと思います。しかし無意識にか本音を隠し、ニックは強引について回ったのです。