①『ハード・ウェイ』(原題『THE HARD WAY』)はブリックス部長とモスがハモッたセリフ
ニックのお守りを命令されてふてくされるモスを呼び止めてブリックス部長が言ったセリフの最後が「the hard way」で、モスが同時に言います。
②ジェームズ・ウッズの独特の声と喋り方
ディズニー映画『ヘラクレス』でハーデスの声優をしているジェームズ・ウッズの声は、早口なのに聞き取りやすく、時にリズミカルで面白いです。
野沢那智さんは、早口だし変なところで息継ぎをするからアテづらいとボヤいていたそうです。
③モスから見てニックはネバーランドに属する坊や
モスがニックから実弾入りの銃が欲しいと言われて、ブリックス部長にお守りを断りに行ったときのセリフの中に「never-never land」が出てきます。
④フロッグ・ドッグのシーンでニックが店主ビルに言ったセリフの意図はCMの真似
⑤フロッグ・ドッグを食べる時に「頂きます」の代わりに言った日本語
「万歳(または盆栽)」と「こんにちは」
⑥skinとnailはキーワード
ニックがアンジーに、モスと寝食共にすると言った後のセリフの中に「get under his skin」と「nail this part」が出てきます。
「get under one's skin」には3つの意味があります。
1. (人)の皮膚の下に入る
2. (人)をイライラさせる
3. (人)の心を強く捕らえる、(人)を魅了する、(人)に興味を起こさせる
2と3は正反対の意味ですが、どっちも翻訳とは合ってない気がします。
「under the skin」には「本当は、本性は、心の中は」という意味があります。
モスの本性を掴む、とか、まるで皮膚をかぶるように「なりきる」という意味合いでskinを使っているのでしょうか。
このセリフに関連して、フロッグドッグのところでモスが長台詞を言う直前のニックのセリフの中に「inside your skin」が出てきます。
「inside one's skin」は「under one's skin」と違って、心理的な意味はないのか、「肌の中」という意味しか見当たらないです。二見文庫『ハード・ウェイ』ではもろに「身体のなか」と言って、モスが”何か腐ったものを嗅いだような、奇妙な表情”を浮かべて爆発。吹替ではうまく意訳してますね。
もう1つのキーワードnailは撃たれたニックにモスが言うセリフで出てきます。
nailの本来の意味は「釘を打つ」ですが、スラングで何かを「完璧にできる」という意味があり、You nailed it.は「言うことなし」「完璧だったね」「最高だったよ」という意味です。
ニックとモスに同じ単語を使わせているのはきっと意図的だと思います。
ちなみにニックもモスもこの場面でwould have「(もしあの時~だったとしたら)~しただろう」という過去への仮定を使っており、ニックはもう自分は助からないと思ってwould haveを使ったのかもしれません。
⑦撃たれたニックにモスが初めて「pal(相棒)」と呼びかける
上述のnailが出てくるモスのセリフの前に「Yeah, pal.」と言います。 モスがニックを相棒と認めたのが分かる感動的なセリフです。
⑧撃たれたニックを励ますモスのささやき声
痛がるニックを一生懸命励ますモス。吹替でも感情がよく伝わってくるんですが、英語で聞いたら、ニックをグッと抱き寄せながら、泣きそうな小さな声でささやいてて、死なないでくれっていう必死な気持ちがより一層伝わってきます。